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コツコツコツっと私の足音が廊下に響く。
「・・・あ、おはようございます」
無論、私だけが廊下にいるのてはなく、単にメイドさん達の足音が響いていないだけである。
「・・・(ペコリ」
私が挨拶をしたメイドさんは小さく会釈をして早々と立ち去ってしまう。
「・・・やっぱり警戒しているんだろうね」
やはりよそ者か。そう考えながら歩いていると、ガチャリと扉が開き、
「いたっ!?」
顔面を強打した。
「・・・む、すまない。怪我は無いか?」
「顔面を強打した以外無いよ」
「そうか無事だったか。良かった」
「顔面は無事じゃないけどね」
現れた人物はニーアの兄、カルラである。
「たしかノゾミだったな?どうしたこんな朝早く」
「ちょっと散歩。カルラ・・・様?」
そういや、私はこの兄弟をなんて呼べばいいんだ?
「・・・カルラでいい」
「そっか。じゃあカルラは?散歩?」
すると、カルラが目をパチクリさせる。
「驚いた。君は私を恐れないのだな?」
「・・・は?何を恐れると?」
「俺は王家の第一王子。父上の後を継ぐものだぞ?」
「え?なに?やっぱり様で呼んでもらいたかったの?」
「いや、そうではなく」
何かしら口ごもるカルラ。私、イライラします。
「ハッキリ喋りなさい!」
「う、うむ!」
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