五里霧中編_壱

2/12
前へ
/38ページ
次へ
   医者の顔をした結は 有無を言わせない迫力を持っている。 私は少し身構えた。 ふぅ、とため息を出し、結は慎重に言葉を選ぶ。 「多分、由紀さんの認識には ちょっとしたズレが生じています。 ・・・事故の後遺症、と言えばいいのか・・・・」 いい淀む結に嫌な予感がして、私は急かす。 「・・・・・・・・・・・・・・どういう意味?」 結は1度目を閉じ、ふぅ、と小さく息を吐き出す。 「今日は、12月14日です。」 えっ?、と声を上げたのは、当然だった。 私が浚われたのは、確か、10月下旬。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加