第1章

2/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
俺、超が付くほど超人見知り。 人と話せば滑舌悪く、 人に触れれば冷や汗まみれ。 趣味は自宅で物書き三昧。 仕事は週5でコンベアー。 白いマスクに白い御飯を 流れで詰め込み 機械が閉じる。 誰とも話さず一日終わり 帰れば自宅で物書き三昧。 誰とも話さず それが幸せ。 ある時見つけた投稿サイト。 いつしかその内魅力に負けて 今度は物書き投稿三昧。 ある時届いたアンケート。 いつもの調子で書きまくり 気付けば同意し、即送信。 その後に入電、内容確認。 「アンケートの御協力、 誠にありがとうございます。」 心で呟く「おやすいご用。」 画面で確認、 思わず呟く言霊一つ。 「マジか…」 『貴方様のアンケート内容に基づき、 弊社でのインタビュー取材が 決定致しました。 尚、この義務につきましては 拒否、及び虚偽は出来ず、 同内容の読後、法令に基づいた 個人情報保護代替案を執行し 貴方様の御自宅でのインタビューを 弊社スタッフが日替わりで行い、 貴方様の生活状況に合わせ 職場でのインタビューも実施し、 24時間の協力を不可避とします。 又、期間は貴方様の精神が 平静でいられる限り続行し、 精神に異常をきたした場合は、 弊社ケアスタッフが 日常の介護全般を担い、 インタビューを継続致します。』 「嘘…だ…ろ…?」 そう呟いた瞬間。 ドアを軽く叩く音が聞こえる。 「えっ…?」 戸惑いに、 最初は弱かった音が 秒を増すごとに強くなっていく。 荒くなる息づかい。 吹き出す冷たい汗。 ドアと文面を交互に見る。 その間も止まない、 ドアを叩く強音。 震えた指が 画面をスクロールする。 ふと気付いた最後の一文。 …鍵が掛けてあるはずの ドアノブが何故か ゆっくりと回り、 薄暗い玄関から見える 見慣れたドアが、 油の切れた蝶番に身を任せ 家主の許可もなく 軋みながら開かれていく。 早鐘のような鼓動は、 その音を取り込みながら 呼吸を飲み込み 息苦しさに合わせ、 眼球が血走る程に 瞳孔が大きく見開かれる。 『それでは只今より、 インタビューを開始します。』
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!