第1章

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時刻は深夜2時。 俺は枕元の携帯の着信音に起こされた 「今日は来てくれてありがとう。」 と書かれてあった。 迷惑メールか?と思って消去しようと送信者を調べたら、届くはずの無い送信者からのメールだった。 ”From 中原誠也 <080-2390-xxxx><seiya-nakahara@xxxxx.jp" 俺はそのメールに返信してみたが案の定返信はできなかった。 続けざまにメールが来る。 ”From 中原誠也 <080-2390-xxxx><seiya-nakahara@xxxxx.jp 「最後に隼人と酒飲めて楽しかったよ、隼人はやっぱ、酒強いよな。」” メールの送り主は疑いようもなく誠也からだ。 着信音がひっきりなしに鳴る。 ”From 中原誠也 <080-2390-xxxx><seiya-nakahara@xxxxx.jp 「けどさ、お前、俺を階段から押したよな」” ”From 中原誠也 <080-2390-xxxx><seiya-nakahara@xxxxx.jp 「俺が死んだ原因、お前だよな」" 俺は冷や汗が滲みでた。実はあの晩、駅の階段を踏み外した原因を作ったのは、冗談半分で肩を押した俺だったのだ。 酒を飲んだ俺たちは、駅に向かうための長い石階段を笑いながら降りていった。 階段の途中で誠也が俺に振り向きながらジョークを言い、俺が誠也の肩を軽く押したとき、アイツは酔っていたせいでバランスを崩し階段から転落してしまったのだ。 届くはずの無いメールが俺の携帯に届く。 ”From 中原誠也 <080-2390-xxxx><seiya-nakahara@xxxxx.jp> 「俺、今お前のマンションの前にいるんだぜ。」" エレベーターが到着した音とメールの着信音が同時に耳に入る。 ”From 中原誠也 <080-2390-xxxx><seiya-nakahara@xxxxx.jp> 「俺、今お前の部屋の前」" 悪寒がする風が吹いて体に重みを感じた直後、耳に生暖かい声が直接入ってきた。 「俺、今お前の後ろ」 その声の主が死んだ誠也だと気づいたとき、鈍い音が頭蓋骨に響いた。
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