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久遠がにへらと笑う。
「ねーねー、なでなでして?」
きょとんとする優人に、すりすりとすり寄っていく久遠。
頭を撫でてると、ニコニコ笑う。
――死神とは思えないフレンドリーさだ。
もしかしたら、この姿が本来の彼自身なのかもしれない。……酒の所為(せい)でフレンドリーよりも『構ってちゃん』状態なのだが。
撫でていた手を離そうとすると、途端に悲しい顔をする。
「もっとー。もっとしてー」
優人がやんわり笑って撫で続ける。
久遠はにこにこ笑ってされるがままだ。
――猫みたいだ。うん、子猫。
ゴロゴロやらないけど。
耳もしっぽもないけれど。
構わないとみゃーみゃーうるさいし。
……いつの間にか眠ってるし。
久遠が幸せそうに眠っている所は、彼にとっては敵の陣地(じんち)なのだが……頓着(とんちゃく)しないらしい。
優人はふんわり笑い、久遠にタオルケットを掛けると、そっとそばを離れた。
後日。
偶然出会った時に、自己紹介をしあった。
それ以降、久遠と優人は、友人として付き合っている。
end
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