第1章

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全部知ってた。きっとこうなるんだと思ってた。でも良かった。とりあえず良かった。私の大事な人は私が守るんだ。 お姉ちゃんの恋心を知ったのは、私が風邪をひいて寝込んでいる時だった。付き合い始めた彼がかけていた電話の内容が、私の耳に届いたのだ。 彼は言った。もう限界だと。彼は言った。でもいい、あの人の髪の毛を触れたんだと。その時わかった。彼の目的は、あの人だったんだって。 「おめでとう。」 その言葉に反応する彼の纏う空気に、私の神経は鋭く反応した。 「ありがとうございます、お姉さん。」その言葉を言われる前に、先に私がこの人に言った。 「ありがとう、お姉ちゃん。」 ごめんね、お姉ちゃん。この人はね、私のものになったんだよ。 ほんとに、ごめんね。
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