第1章

3/4
前へ
/4ページ
次へ
僕は思う。この恋をどうしてやろうか。この恋を少しだけ壊してやろうか。 僕は思う。この恋がもし叶わないのであれば、いっその事、彼女の近くで、できるだけ彼女の近くにいたいと、そう思った。 彼女の妹に告白されたのは、夏の夜の、少し湿気の多い、実に湿っぽい夜だった。彼女は極度の恋愛依存症のようで、しかも友達が多いことで有名で、彼女を振ろうものなら、僕の居場所が地球の端っこまで追いやられるような、そんな局地的な状況に陥るのだ。それはどうしても避けたかった。僕はできるだけ平和に行きたかった。親は離婚した。兄弟は音信不通。僕だけは幸せに、僕だけは、平凡な人生を送りたかった。 そんな時だった。彼女のお姉さんに会ったのは。まさにこれは運命的な一目惚れだった。これはどうにかして、この人を手に入れたいと思った。どうしてもこの髪に触れて、その顔を官能的に歪ませてみたかった。 「おめでとう。」 その笑顔はどこまでも美しかった。どこまでも輝いて、どこまでも真っ直ぐだった。 「ありがとうございます。お姉さん。」 その笑顔、もうすぐ、僕のものだね。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加