17 罪と罰

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『ええ。それしか、その定めから逃れるすべはありませんから。自ら命を絶てば、サレストの能力は他の人間に移りますが……でも、その代わりに、人として転生することはできなくなる。だから、私の前のサレストたちは、今ごろ、犬や猫──ならまだいいが、あなたが今踏みつけている、その辺の雑草にでもなっているかもしれませんね』  オレが思わず、自分の足元に目をやるのを、九鬼はおもしろそうに見ていた。 『私も、自分から命を絶とうと試みたことがないわけではありませんが。これがなかなか難しい。本人の決意はかたくても、いざ実行に移そうとすると、必ずといっていいほど、なぜか邪魔が入って失敗してしまう。仲間を守るために、やはり何らかの力が働いて、サレストを死なせないようにしているのでしょう。だから、過去のサレストたちも、死ぬまでには相当苦労したようですよ。
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