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『私から言わせれば、次の世で能力を失ったって別にいいじゃないかと思うんですけどね。むしろ、このわずらわしい定めから解放されて、普通の人間になれるなんて、めでたいことじゃないですか。私たちのように、場合によっては転生できなくなったり、人間以外のものになってしまうよりは、よほど恵まれている』
九鬼はせせら笑った。
が、それを聞かされたオレの方は、当然、笑えるような気分じゃなかった。
オレだって……確かに、こんな能力、なかったら良かったのにと思うことはある。
さっきの九鬼じゃないけど、なんでよりにもよって、このオレが選ばれてしまったんだろうって。
オレがそう思うくらいなんだから、オレたちよりもっともっと責任の重い伊波が、一度もそう思わないわけがない。
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