僕を殺した君に言う

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「はじめまして。今回あなたの担当をさせて頂く勅使河原と申します。どうぞよろしくお願いいたします」 薄暗い静かな部屋の中に勅使河原と名乗った男の声が響いた。 広さ30畳程のその部屋の中央には質素なテーブルと椅子が置かれており、黒いスーツを着た中肉中背の勅使河原がそこに座っていた。 テーブルの上にはペンと紙が几帳面に揃えられて置かれている。 「こちらこそ宜しくお願します」 勅使河原のいる場所から約5メートル離れた位置に置いてある椅子に座っていた女が緊張した面持ちでそう声に出した。 部屋の中には勅使河原とその女の2人しかいない。 「大丈夫ですか? 面接ではないのですからもっとリラックスしてください。それでは早速始めましょう。まずはあなたの自己紹介からお願いいたします」 勅使河原はそう言ってテーブルの上のペンに手を伸ばした。 「はい。わかりました。宮前友恵、24歳です。神奈川県から来ました。普段はアパレルショップの店員をやっています。えっと、それから――」 「ああ、もう結構ですよ。では次にこれまでの経緯をお話し下さい。出来るだけ詳細にお話し下さい」 勅使河原は紙にペンを走らせながら言った。 「はい。わかりました」 友恵は自身のスカートの端を握りながらゆっくりと話し始めた。
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