第1章

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「帰りたくないな…」 そう言った私に、彼はにっこりと微笑んで、ぎゅっと私を抱き締めた。 「来週なんて、すぐだよ」 腕の中は暖かくて心地よくて、私はうっとりと目を閉じた。 「そうだね」 「帰ったら、メールするよ」 「うん」 「早く、会えるように」 彼の言葉が嬉しくて、私は浮かれた足取りで家路をたどる。 『おやすみ、夢で会えるといいね』 『おやすみ』と返して、照れくさい気持ちを抱き締めるようにして、眠りに落ちた。 思えばそれが、始まりの合図だった。
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