第1章

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はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…。 自分の呼気がやたらと耳につく。 私は、走っていた。 怯えて、逃げるように。 途中、何度も振り返る。 視界の先は闇に溶けていて、何も見えない。 けれど、私は知っていた。 その先にいるのが誰なのか。 「来ないでよ…」 恐怖に足が縺れる。 転びそうになるのをなんとか堪えて、痛む腹を押さえて私は、無我夢中で走った。
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