第1章

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私は手早く『おはよう』とだけ返して、もう一度寝そべった。 冷えた汗がこめかみを伝う感覚が、気持ち悪い。 私の返事が長くても短くても、彼からのメールが返ってくることはない。 彼からのメールは、毎朝来るカントダウンと、夜ベットに入ると届く、 『おやすみ。夢でも会えるといいね』 と毎日決まった文面だけだ。 メールがあまり好きではないと言っていたから、それだけでも特に不満はなかった。 けれど、夜に届くそれが悪夢の予兆のようで、日が立つにつれて、恐怖を感じるようになっていた。 不快な夢ほど記憶に残って、私は最近眠るのが、少し怖い。
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