第壱章

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「それじゃ手元の資料を参考にしてね。でもねー正直説明するの面倒なのよ」 あやたかが気怠そうに頬杖をつく。 「いやいや、説明しろよ(バンっ)」 碧羽の突っ込みで渋々とあやたかは説明を始めた。 「それで、この研究所っていうのは元々栄養剤とか特効薬を研究するところだったみたい。そこの研究者の一人が作った薬が問題を起こしてそれが原因でその研究所は閉鎖されたんだって。」 あやたかがパソコンを見ながら淡々と語ってゆく。 「それでそれのどこが標的にされる理由になったの?」 あすむが首を傾げながら質問する。 それに対してあやたかは一呼吸置いてから続けた。 「その薬を作った研究者が逆恨みか何かでそこの研究所の研究員や関係する人間を手に掛けてるの。既に研究所の所長と研究員三人がその研究者によって殺されてるの。」 「それだけ分かってるなら俺たちが動かなくても司法機関が動くんじゃないか」 「碧羽、依頼人がどうして司法機関ではなく僕たちに依頼したか考えてみて。この依頼人もきっと訳ありの人間。公にしたら依頼人も捕まってしまうし最悪の場合、消されてしまうかもしれない。」 「所詮司法機関が仕事するのは二次元だけってところね。」 あやたかが疲れた声でボソリと呟いた。
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