第壱章

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あやたかのそんな呟きを掻き消すようにルイが部屋に入ってきた。 「俺も復活したッス! 」 そんなキメ顔をしたルイを他所に机を囲む碧羽、あすむ、あやたか、景は完璧に無視していた。 「みんなひどいッス。無視はつらいッス! でもあすむさんに分かっていて無視されるのはご褒美ッス」 ルイが後半に地雷を踏み抜いたのはここにいた全員が悟ったのは言うまでもない。しかしルイは続ける。 「みんなで何してるッスか」 ルイは碧羽たちの方へ歩いて行き机の上にある資料を手に取る。 「依頼の話をしているのに俺を差し置いて抜け駆けッスか。こうなったら俺のストーキングスキルを生かしてどこまでも付いていくしかないッス」 ルイは今まで出番が無かったのを晴らすかのように話す。 ルイが一通り言い終わった後碧羽が目を逸らして右手の親指を立ててグッとしていた。 「きーちゃんルイがうるさいから隣の部屋に連れていってー」 「あすむんのご命令とあらば喜んでー」 あすむが言い終わる前にどこからか現れたきーちゃんがルイを引き摺ってまた隣の部屋に行ってしまった。 「…もう会議する雰囲気じゃ無くなったな」 碧羽の言葉にあすむとあやたかが反応する。 「ルイときーちゃんが出てくるとそうなるよね。とりあえず明日もあるし今日はこんな感じで良いんじゃないかな」 「それじゃ今日はお開きで!」 あやたかのお開き宣言で終了した。 そして隣の部屋ではルイの声が響き渡っていた。
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