男性不信

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接客部屋を片付け終わってから精算のときは、少し心が躍る。 「本日、フリー4本、指名が3本で合計9万7千円から雑費5千円引かせていただきまして、お給料9万2千円になります!お疲れ様でした!」 ボーイの元気な声がフロントに響く。 この前田っていうボーイ、入ってきたばかりのころはいつもナヨナヨしててあたしはイラついてた。 今ではシャキシャキ動くし、はっきりとよく喋る。オーナーの教育が行き届いているのだろう。 「ありがとうございます。」 完全日払い制のお給料を、両手で大切に受け取る。 1日にして、諭吉が9枚手に入る。 そんな仕事はきっと、風俗くらいだ。 それも、本番あり(セックスまでサービスに含まれている)店じゃなきゃまず無理。 私はこの店では「人気嬢」と呼ばれる部類の女の子だと思う。 しかし、ほぼ休憩なしで7人の男の接客をするのはさすがに体力的に厳しいものがある。 こんな大盛況な日は、灰になったような気分で、送りのタクシーの中で意識を失いかけながら帰宅する。 自宅とは、完全にオフになれる唯一の場所だと思う。 つい自分を甘やかしてしまいがちな空間でもある。 化粧を落として眠るなんて、至難の技。 肌に悪いから気をつけなきゃとは思うのだが、またしても自分に勝てず、電気をつけたまま朝方まで深く眠ってしまうあたしだった。
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