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「私の従姉妹が警察官でね、話してくれたの。ちょうどその事件担当したみたいで。」
スペンサーは気怠そうに肘をつきながら、ゆっくりと話し出した。
今だに話すことに戸惑っているようにも見える。
「ねえ、本当に私もいいの?聞いて。」
メアリは気まずそうに手を上げる。
「絶対に内緒にしてくれるなら、私はいいわ。」
「エミリーがいいなら・・。」
スペンサーはオレンジジュースを飲み、またため息をついた。
「メグミ、留学したでしょ?それね、本当の目的はリハビリだったんだって。」
「リハビリ?」
「ええ。卒業してすぐ、モーガンに右腕を折られて、そのリハビリに。」
「な、何でそんなこと?!」
エミリー以上に疑問に思うメアリが椅子から身体を乗り出してスペンサーに食いかかった。
「バスケが上手いから、調子に乗ってるとかそんな理由だったみたい。痛い目みせてやろうって。」
「そんな・・事で?」
「ええ、本当に最低野郎よ。」
スペンサーは舌打ちし、激しく嫌悪感を露わにした。
「で、もっと最低最悪なのは、腕を折って・・メグミを・・レイプしたらしいの。」
すうぅぅぅ
エミリーの身体から体温が一気に奪われていった。
「昔の自分には戻れないって・・その事・・だったの?」
「多分・・・。」
手が震える。
その理由が怒りなのか、悲しみなのか、恐怖なのか、エミリーにはわからなかった。
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