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ずぶ濡れの洋服を乾燥機にかけ、メグミの服を借りエミリーはベッドに腰掛けた。
「はい、ホットココア。」
差し出された飲み物を受け取り一口飲むと、昔も同じような事があったなと、ふと思い出した。
「エミリーは昔から・・よく雨で濡れてたね。」
「・・・その度に、これ作ってくれてた。」
同じ事を考えていた事が嬉しくて、また目に涙が浮かんできた。
それに気付いたメグミはやれやれと呆れながら、指で優しく涙を拭う。
エミリーはその手を掴み、ギュッと力を込めた。
「メグミは・・変わってないわ。」
「・・・・・。」
「何も変わってない。私の大好きなメグミよ・・・。」
「・・・素直過ぎて怖いな。昔は好きも言えなかったエミリーなのに。」
また悲しい表情で笑う彼女を、近くへ引き寄せた。
そうでもしないと、メグミはまた距離をおきそうで。
「メグミが留学した理由を知っても、私の気持ちは変わらないわ。今度こそ決めたの、大切なものは諦めないって。」
「・・・もう私の身体は綺麗じゃない。」
「綺麗よ。」
引き下がらないエミリーに、メグミは苦笑した。
「このまま、寝よう。今夜は・・寝れそうだから。」
「返事、きかせてくれないの?」
「・・・エミリー、お願い。このまま寝させて。」
ギュッと抱きしめ、額にキスをするメグミ。
その切なげな瞳にノーとは言えなかった。
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