第1章・花の妖精

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「もう、勘弁してほしいわ」   唯ちゃんがあたまから湯気を出して、捨てられた紙花をじゃっじゃっとホウキで掃いた。   私たちは今週、校舎裏の掃除当番だった。   女子高は節操がない。   校舎裏には落ち葉の他に、欠けて使い物にならなくなった口紅やら、割れた手鏡、友だち同士で切り合いっこしたであろう長い髪の毛の束、それからエロ本やら文字にするのもはばかれる卑猥なものまで、色んなものが落ちていた。   傍からは歴史あるお嬢様学校、といった目で見られているけれど、女子高の実情はこんなものだ。   女だけのパラダイス、無法地帯だった。
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