第6章

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まだ勤務時間のはずの平日の夕方。 佐古部長が、静かに私の病室にやってきた。 以前の友田部長の後を引き継いだ佐古総務部長は、定年まであと4,5年のどっしりとした外見の優しい上司だった。 「佐古部長・・」 「桜井くん・・。あ。そのままで」 佐古部長は、手を上げて制したけど、 寝ているわけにもいかず、私はベッドに上半身だけ体を起こした。 「看護師さんに、病状のことは聞いたよ。 すぐ帰るから・・。 あ、これ、良かったら・・」 そう言いながら、お見舞いの品だという、お花をベッドの横に置いてくれた。 「なんだか、すいません・・」 「イヤ、俺の方こそ、堂本から桜井くんのことは聞いていたんだが、やっぱり直接会って話をするべきだと思ってね・・」
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