第9章

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「ちょっと顔を出したら、タクシーで、堂本の家に戻るから。ね。 急に抜けてたくさん迷惑をかけて、私はずっと何にもできなかったから、ちょっとみんなの顔を見て挨拶したくて……」 「……会社か……」 「行く時もタクシーで行けば、そんなに体に無理はないと思う、どうかな?」 幸太郎は、私の表情を伺って、ちょっとだけ考え込んでから、フッと表情を緩めた。 「みんな……美波さんを待ってるよ。 原ちゃんは相変わらず、顔を合わせるたびにまとわりついて様子を聞きたがるしな。 部長からもよく聞かれる。 だから喜ぶと思うな」 「行っていい?」 「明日の朝、体調が良さそうだったらな」 「うん!!」 2ヶ月以上足を運べなかったし、これから出産したらきっとしばらくは動くこともできない。 だから今のうちもう一度、行っておきたかった。
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