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物理の宿題が消えた日、その日は最悪の日々の始まりの一日目だったのかもしれない。
その翌日、私はなにくわぬ顔で自分の教室の扉を開いた。
予鈴が鳴る十分前に登校したクラスメイト達が不安そうに何かを話している。
嫌な予感がする。
「今日こそ七月だね」
そう言って私の肩に自分の肩を当てたのは、既に登校していた瑞樹だった。
「ズッキー。おはよ」
「おはよりな。でもね、これ見て」
瑞樹が指差すのは黒板の右端、そこには日付けや曜日、日直の生徒の名前などが書かれているが、その中でも私の目を引いたのは日付けだった。
「六月三十二日?」
「うん。そう書いてるね。これ、消えないんだ。気味が悪いよね。それに、六月には三十一日も無いし、本当はもう七月なんだよ」
言われてみればそうだ。
「それに、昨日から二年生の先輩の何人かと連絡が取れてないらしいし、それでみんな怯えてるの」
「……怯えるって何に?」
「だって何か良く無いこと起きそうじゃん。さすがに怖いなぁ」
「よう、二人とも」
私と瑞樹を抱くように腕を肩に乗せてきたのは、相変わらず髪の毛が遊び倒された晃平だった。
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