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担任の不意の言葉に私は足がすくんだ。
先生、その言い方だと、そのクラスの生徒全員と連絡が取れて無い風に聞こえますよ。
おかしい。
おかしいよ。
何かがおかしいよ。
「全員家にも帰ってないらしい」
おかしいよ。
「担任の先生方とも連絡が……」
おかしいよ!
「りなっ!?」
瑞樹の声を背中に、私は座っている椅子を押し倒し、教室を飛び出した。
階段で転けそうになりながら、もつれる足を運んで、二年生の七組の教室の扉を遠慮無しに開けた。
みんなが馬鹿なんだ。
クラスが消えるの意味が分からないよ。
きっと二年生のクラスにも、一人ずつくらい優希みたいに真面目な人がいるはず。
きっと、この扉の先に、いつも見る先輩がいるはず。
ホームルームの時間に全力で扉を開けたことに、担任の先生が起こるはず。
激しい衝突音を上げて扉を開けると、そこには誰も座っていない机が綺麗に並べられていた。
「なんで……よ……」
割と泣き虫なつもりだった私が驚くくらい、抵抗の無い涙が流れた。
「君がある罪を犯したからだよ」
……誰?
誰かの声がした。
無駄なハネやハライの無い綺麗な文字が並びそうな綺麗な標準語の男の子の声が。
床に膝をつく私は、見上げるようにして廊下に視線を戻した。
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