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五月二十七日。
それは志鎌晃平の十六歳の誕生日。
このチャラ男がこの世に生まれてまだ十六年しか経ってないのかと私は率直に思った。
クラス発表の当日に一応友達になった私達は、かなりの覚悟と口論の結果、同じ部活に入ることにした。
その部活は、まあどこの高校にもあるであろう普通の陸上部。
優希と私は運動経験ほぼゼロで、瑞樹も晃平も走ることを専門にしたことは無い。
その部活で毎度毎度無駄に盛り上がるのは誰かの誕生日。
陸上部では三番目に誕生日が早い晃平を、陸上部のみんなで祝い、その学校帰りに私達は四人で集まった。
『目を瞑って』
部室が連なる建物の裏で、瑞樹がお約束のようなセリフを晃平に言った。
数秒後には生クリームたっぷりのパンケーキが晃平の顔になすりつけられていた。
『食べ物粗末にしちゃいけないから全部食べてよねぇ』
瑞樹がトドメのような一言を告げた。
『あー分かった分かった。オッケーオッケー』
そう言って晃平は自分の顔の上をゆっくり流れるパンケーキを口に運んだ。
『よっしゃ。ある程度食ったし、どっかで顔拭くか』
『えっ!? ちょっと待って! 私で拭こうとしてる!?』
『こんなこと考えるのは瑞樹しかいねえんだよ!』
『待ってちょ、胸触んな!』
結局瑞樹まで生クリーム塗れになって、周りの目を気にしながら私達は家に帰った。
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