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自転車通学の永遠の敵である梅雨が明け、七月が目前となった六月三十日。
五月病も既に末期になって、それが普通になった頃。
私は六月三十一日の朝を迎えた。
「やっと七月だよ。でもこの三ヶ月一瞬だったー」
背伸びをしながらそう言うのは瑞樹。
「ズッキー。まだ六月終わってないよ」
「あれ? そだっけ?」
私の言葉で瑞樹が首を傾げると、彼女の後頭部のポニーテールが小さく揺れた。
瑞樹は中学からの知り合いがいない私に、高校で初めてできた友達。
凄くフレンドリーで、面白い人。
クラスで一番ってほどじゃないけど、それなりに可愛くていつも楽しそう。
私と友達になってくれた理由を聞いた時はほんのちょっとだけ泣きそうになったけど、友達になれて良かったと思う。
三ヶ月前の始業式の日、私は瑞樹に廊下に呼ばれた。
瑞樹が私を連れて向かった場所には二人の男子がいた。
長身で小顔の眼鏡男子と、茶髪で髪の毛がワックスで遊び倒されたチャラそうな男子。
私はとりあえず挨拶程度に頭を下げてみた。
まあ予想通り、なんだこいつぐらいに二人は私を見た。
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