六月末

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『さてと! これで四人だし、こんなもんっしょ』  私と男子二人はお互いに目を合わせ、瑞樹が何を言ってるのかわからないことを確認し合った。 『君達がなんと言おうと、今年一年、私はあなた達と生活をします。誰かが離れ離れになりそうになったら全力で連れ戻すし、悩んでたら全力で支える』  瑞樹は楽しそうに言った。  第一印象は可愛い女の子、第二印象は変わった女の子。  中学までに私が他人に思われてきたのと同じだ。 『ちょっとタンマ。誰あんた?』  チャラい方がめんどくさそうに言った。 『狙いはなんだ?』  真面目そうな方が威嚇気味に言った。 『狙いなんて無いよ。ウチは楽しいことが好きなだけ。きっとこれから楽しくなるよ』  第三の印象は胡散臭い。  でも、直ぐに生まれた第四の印象は面白そうだった。 『私はいいよ。あなたの意見に乗ってみる』  そう楽しくなると思ったからそう言った。  何せ、私にはこの学校に知り合いはいない。  友達は死ぬほど欲しかったのだ。 『いいねーりいなちゃん。君のことはりなって呼ぶね』 『りなっ!? 私りいな……』 『私の名前は瑞樹! これからお互いのこと苗字で呼ぶの禁止ね』
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