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週末、私は一人で海に来た
清々しいほどに空は晴れわたり
海はキラキラと海面を輝かせる
どこまでも続く地平線
私はそんな場所に一人きり
まるで世界に自分しか存在していないような気分だった
私は靴を脱いで両手に持ち、波打ち際に立つ
まだ冷たい海に私は足をつけた
水の冷たさが今の私にはとても心地よかった
そして私は潮の匂いのする空気をスゥーと肺いっぱいに吸い込んで
力一杯叫んだ
「バカヤロー!」
今まで渦巻いていた気持ちをありったけの力を込めて叫んだ
しかし、すぐに私の言葉は波の音に吸い込まれていってしまう
「曖昧な態度で人を振り回すな!バカヤロー!」
誰に届くことのない叫び
ただ、波の音だけが満ちた空間
一通り叫び終わると私は靴を地面に落として膝をついた
服が瞬く間に水を吸い上げる
まるでこれから流れるものを吸収しようとするように
頬を一筋の雫が伝い
海風に飛ばされていった
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