兆し

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 その日、彼女が現れる事は無くそのまま家路に着いている途中だった。 ーーーーーーーージリリリリリリリ。  電車を待つホームで私の携帯が鳴り響いた。周囲が一瞬此方を見たがすぐさま各々の事に向き直る。  辺りが煙たがった様子だったが、珍しく娘からの電話だった為、何かあったのかと思いすぐに電話をとった。 「もしもし私だ」  すぐさま異常な事態である事が分かった。娘はパニック状態のようで荒げた呼吸音のまま息を切らして話しかけてきた。 「あ、、おお……母さんが、母さんが、工事現場で、柱が………私どうする事も出来なくて」  言葉にならないようで、途切れ途切れに母と言う単語が飛び交い”母さんがどうした!”と何度も聞き返すと。 「母さんが………事故に巻き込まれた」
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