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滅亡6日前:
いつも通り、誰にも挨拶する事も無く自宅を出ると、何時もの如く決まったデスクに腰を下ろす。
積まれた資料と睨めっこをしながら、決まった仕事をする。
一般的なサラリーマンではあったが、実際にはデスクワークが9割の事務員の様なものである。
そしてその日、屋上でいつもの様にお昼を一人で食べている時だった。
「あの……………隣いいですか?」
私は目も合わす事無く”どうぞ”と小さく答えると、いやに近くにその女性は席に着いた。
「愛妻弁当ですか?良いですね」
そんな良い物では無かった。何故ならばコンビニの惣菜を入れただけの弁当である。
家族が不良好な事が世間にばれたくない為、妻は買った惣菜を弁当箱に移し替えると言う作業だけは欠かさずに今もやっている。
あまりにその女性が近いせいであろう、薄っすらとした香水の香りが何故か胸を高鳴らせた。
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