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長い髪がゆっくりと靡き振り向いた様が、何処か艶めかしく色気の様なものを感じドキリとした。
「お待ちしていました。今日は伝えるだけでもと思いまして」
俯き加減に声をどもらせるさまが、何処か幼さの様なものも感じさせた。
正直に言えばどうにかなってしまいそうであった。もしもまだ自分が三十代であれば間違いを起こしてしまうかも知れない程の色香だった。
「もう帰りなさい。私はそう言った類の人間では無いのでね」
悪い冗談かも知れない。仮に本気だったとしても、彼女の気持ちには応えられない。
故に、先に釘をさす事にした。だからもう何も言わせないつもりでそう言ったつもりだったが。
「良いんです。ただ気持ちを伝えたかっただけですので。勿論、妻子ある身である事も理解しています」
コレはまずい事になったと思った。しかし、此処でハッキリとさせなければきっとよくない期待をさせてしまう事になる。
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