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「だから私は貴方の事が…………」
「すまない!私は君の気持に答えられるような人間じゃないし、きっと君は本当の私を知ればがっかりするだろう」
言葉を遮る様にしてそう答えた。きっと会社での私しか知らないのであろう相手だ、何も私の事は解ってはいないだろう。
釘は効いた様子だった。
泣くような笑うような怒った様な複雑な表情で固まり此方を見て来ていた。
正直、心内不気味でしかなかった。先ほどまでは何処にでもいる美人に見えたが、今は何を考えているのか解らない。
「だから取りあえず……………ヒッッッッ!」
思わず悲鳴を上げてしまう。無理やりにでも帰そうと思ったその時、女性の口から赤い血が滴り落ちていた。
「…………またメールします」
そう言い夜の街に吸い込まれるようにして、彼女は消えてしまった。
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