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馬鹿な君へ
君はずっと側にいた。
何を奪っても、裏切っても。
僕はそれに安心と恐怖、苛立ちを覚えていた。
君から、君の全てになった僕を奪っても、君はまだ側にいた。
君の想いに気づいたのは、君から僕を奪った後だった。
君は僕が気づいたことに気づかなかった。
君の冷たい愛は、僕が与えた物と同じだった。
虚無の意味に気づかなかったのは、君だけだよ。
僕が君の物になったあの一瞬は、広大な虚無の全てだった。
君が僕の物になったって?
それは君の勘違いじゃないか。
君は、とうとう僕の物にはならなかった。
全てを奪っても、君の想いだけは僕の物じゃなかった。
馬鹿で滑稽で狂ってる君のこと、僕はずっと愛してるよ。
初めから最後まで、亡くしたはずの僕の想い、君が持っていたんだね。
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