どんなに遠く離れても

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歌い終わると、マコちゃんも含めた仲の良かった女の子たちが何人か涙ぐんでいた。 それを見て私まで………鼻の奥が痛くなる。 ここで泣くと、止めどなくなりそうで………必死で堪えた。 「先週、ちふゆさんが草むしりしている間に、このお別れ会の計画を立てたんだよ」 少し涙目の先生が私にそう説明してくれた。 あの時か………。 私が教頭先生と理不尽な草むしりをしていたあの時、こんなことを話しあっていたんだ………。 しかも私の大好きな思い出のこの曲を………。 「引っ越しても……僕たちのこと忘れないでね」 学級委員の塚田君がそう言って私に差し出したのは、クラスのみんなの書いた寄せ書き。 一人一人の言葉を読んでいくうちに、私の瞳からは大粒の涙がポロポロと流れ出した。 『今までありがとう!』 『ちふゆちゃん、大好き!』 『向こうでも元気で頑張ってね!』 そんな言葉の中に見つけた。 『また会おうね』 の言葉。 ………そう簡単に会える距離じゃない。 もう………みんなとは会えないかもしれない………。 きっとみんなもいつか私の事を忘れるんだろう………。 でも───………。 「ちふゆちゃん………!」 マコちゃんが私に抱きついてきた。 泣きじゃくりながら、 「ちふゆちゃんがいなくなるんて、淋しいよ………」 私の肩に顔を埋めて身体を震わすマコちゃん。 一番仲の良かったマコちゃんは、1年生からの親友。 楽しいことも辛いことも一緒に体験してきた、大事な親友。 「マ………、マコちゃん………っ!」 例えもうずっと会えなくても。 私はきっと忘れない。 このクラスを、この学校を、この町を。 大好きな大好きな人たちを。 「今まで、ありがとうっ!!!」 私も泣きじゃくりながら、一番の言葉を伝えた。 「………わ、忘れないよ………。  私、絶対忘れないっ!!」 素敵な思い出を………ありがとう。 どんなに遠く離れても……… またいつかきっと────出会えることを祈って。 【終わり】
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