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恋人ごっこだから、慶久君とは色々な所に行った。
例えば一緒にカフェに行ったり、買い物をしたり。
穏やかで、自然と笑顔になれて、すごく楽しかった。
慶久君は話が上手くて、何をしていても飽きることはなかった。
彼を好きになる女子が後を絶たないのもよく分かる。
雅史はたまに熱を持った視線で女の子を見たりするけれど、慶久君にはそれが一切ない。
悪意も下心もない純粋さは本当に心地が良くて、たまに母性本能をくすぐられる。
なんで私はまた慶久君と雅史を比べてしまうんだろう。
きっとこれ以上は考えちゃいけない。
もう、雅史のことは考えちゃダメだ。
そっと気持ちに蓋をして、心の奥にしまい込む。
今は『恋人』である慶久君を見るべきなんだ。
今だって、せっかく二人でショッピングに来ているのに、雅史のこと、他のことを考えるなんて、不毛なことだ。
楽しまなきゃ、そう思えば思うほど、心が冷めていってしまう。
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