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慶久君が心配そうに私の顔を覗き込む。
綺麗な顔が悲しそうに歪んでいる。
そうさせているのは私なんだけど。
「大丈夫?どっかで休もうか?」
「ごめん、ぼうっとしてただけ」
最近慶久君に悲しそうな顔させてばかりだ。
私がいつまでもウジウジしてるから、だから周りに心配をかける。
最低なのは私の方かもしれない。
「ね、やっぱり休もう。俺も疲れてきたから」
慶久君が少し焦った様子で私の腕を引く。
さっきまで普通にしていたのに。
「どうしたの?帰った方が…っ」
慶久君はあからさまにしまった、という顔つきをする。
なるほど。私に見せないように気を遣ってくれていたんだ。
視線の先には雅史がいた。
見知らぬ女の子と一緒に、いつもの笑顔で。
肩に手まで置いている。
あいつ、またあんな事して。
また問題が起きるじゃない。
処理するのは誰だと思ってるのよ。
―――なんで、こんなにショック受けてるんだろ。
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