28人が本棚に入れています
本棚に追加
「アタシの方が相応しいに決まってるわ!」
「どこが?鏡見たら?私の方がずっと似合うよ!」
「隣はアタシが座るのよ!」
「何言ってんの?私だよ!」
またやってる。
しかも前とは違う人達。
私の通う大学の食堂では、毎日のように女子達のこのやりとりが行われている。
原因は毎回同じ。
私の幼馴染である米田雅史だ。
毎度のことに呆れ果てていると、雅史が私の方を見て小さく両手を合わせる。
助けてくれ、ね。
自分で蒔いた種なんだから、勝手に困っていればいいのに。
だけどこのまま放っておけば周りの無関係な人達が可哀想。
すごく困った顔をして、何人かは縋るように私を見ている。
これじゃご飯すらまともに食べられないか。
仕方ない、雅史には後でなにか奢ってもらおう。
それでチャラにしてあげる。
私はやけに重く感じる足を無理矢理動かして、騒ぎの中心へと近づいていった。
最初のコメントを投稿しよう!