28人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごめんって。いつもありがとな」
雅史はそう言って私の頭を撫でる。
天然タラシめ。
誰にでも優しくして、誰にでもそうやって簡単に心を許して、気軽に触れるんでしょ?
そういうところが唯一嫌いなんだよ。
「はいはい、分かった。…じゃあ私先に帰るから」
頭に置かれた手を振り払って、早歩きで彼の傍を離れる。
幼馴染でなければ、いや、幼馴染であっても隣に立つのが不釣り合いなのは一目瞭然。
「じゃあ、俺も一緒に帰る」
慶久君が私の横に並ぶ。
慶久君の隣も私じゃ不釣り合いだ。
「お、おい」
「マッシーは今日のオンナノコ達をどうにかしてから帰りなよー」
私の代わりに慶久君が返事をする。
私が今雅史と一緒にいたくないことを察してくれたんだろう。
雅史は私の感情にだけは鈍い。
まあ、私も彼が何を考えているかなんて分からないから、お互い様かもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!