くうそう遊び

とあるメール

──携帯のバイブ音が部屋に響く。

暗がりに照らされた着信画面。

それを頼りに男──宮司宗也（くうじそうや）が携帯を手に取った。

宛先表示は無し。

“迷惑メールだろう”

そう思いながら、眠気眼で画面を開いた。

「……ん？」

画面に現れていたもの。

“くうそう遊び”と書かれた題であった。

空想遊びとはなんなのか。

まだ開ききっていない眼を擦りながら、下へスクロールする。

「“くうそう遊びをしませんか？”……。これだけ？」

書かれていたのはこれだけであった。

少しスクロールするも、文字は見当たらない。

また迷惑メールか。

そう思いながらも、返信のボタンを押した。

理由はひとつ。

迷惑メールの相手を困らせるため。

──ここ最近、宗也は迷惑メールに困っていた。

ブロックしても来る、同じ内容。

脅迫紛いの雑多な文章。

比較的穏和な部類である彼でも、イライラは頂点に達していた。

「返信は……“参加します”かな？」

言葉に出しながら、宗也は文字を打ち込む。

そして送信を押そうとした時、彼は考えを改めた。