酷く美しく暴力的な世界の裏側には、

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ーーー君ならきっと、難なく彼を殺せるでしょう? ーーー体力は確かにない君だけど、君にはその頭がある ーーー直接殺さなくても、君なら子供一人くらい殺せそうだし 「まあ、勿論ユンも弱くないから結構骨が折れるかもしれないけど、それでも君なら、」 「殺さねえよ」 「……へえ?」 キラリ、碧が光る。 今にも舌なめずりしそうなランがギラギラした視線を送ってくる。 「珍しいねえクラウス。敵を見逃すの?君なら彼を殺すかと思ったんだけどなあ。感情と理性を切り離して物事を見れるクラウスにしては甘い判断だ」 「…もし俺が頷いてたら、お前は俺を殺しただろうが」 「あはは、やっだなあ。あたりまえでしょー?」 僕にだって仲間意識はあるんだよ、まだ話したことないとはいえ仲間をむざむざ殺させる訳ないし。 クスクスと笑ったランの周囲から殺意が消える。 まだ子供のランの殺意は呆れるほどに稚拙で露骨だ。 それでもどこか空恐ろしく感じてしまうのは、その殺意がどこまでも本気だと分かるからだろうか。 緩く頭を振って詰めていた息を吐き出す。 異常な程に良すぎる頭を持つ自分とたいして年も変わらないくせに、大人び過ぎた自分と円滑な会話のできる彼もまた、異常なのではないだろうか。 ーーなんて、今更なんだろう、きっと。 「ーーお前はどうすんだ?」 「勿論何もしないよっ?ああ、でも仲良くなるつもりだから、話しかけたりはするかも」 「監視はしねえのか」 「なんで仲間を監視しなきゃいけないのさ、疑ってるのは上の方であって僕は関係ないしー。それに僕こんなんでも強いほうだから、最近まで裏の世界なんて知らなかったユンに害される危険性なんて全く考えてないんだよねー」 数年後はわかんないけど、と笑ったランが首を傾げて俺を見る。 「なんだ」 「んー、いや、君とユンって似てるなあって」 「………あ?」 「いや、君たちってさあ、家族を亡くしてて、九龍ヘイアンに並々ならぬ感情抱いてるし。あ、年齢も一緒じゃん」 「…似てねえよ」 「そう?でもさあ、類似点は結構あるんじゃない?クラウスのことが大好きな僕だし、ユンともすぐ仲良くなれそう」 「さっき俺を殺そうと思ってた癖によく言えるな」 「ふふ、愛故ってやつ?」 「は、ぬかせ」
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