第2章

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当たり前だ。 そうでないと仕事が始まらないし終わらない。 俺は眉をひそめて頷いた。 「あれに、赤ペンで『人にあまり見られないようにしろ』って書いてあったろ?」 ああ、それか。 俺はリクに渡されたあの封筒の中身を思い出す。 あの汚い字はそう書いていたのか、今わかった。 習字を習ったほうがいいと言おうか悩んだが、今はそんな雰囲気ではない。 しかし一体なんだというのか。 今回は以前よりもあまり人に見られてはいない。 だから大丈夫だと思っていたが、そうでなかったらしい。 「見られてたのを通報された、ってことか。」 俺が前に注意を受けた内容を一つ一つ思い出し、そのうちの一つをくちに出すとガイルは大きくうなずいた。 「そういうことだ。前髪上げなければこんなことにはならないんだけどなぁ…」 それは困る。 俺の前髪は長く、目がすっかり全部隠れてしまうほどだ。 だから前髪をあげておけば前が見やすいし、なによりセカンドが寄ってくる。 仕事をしているときだけは実に便利なのだ。
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