第3章

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どこの馬鹿が迷い込んだというのか。 心の声がリクには聞こえたのだろう。 くすくすと笑った後に「TVだよ。」と言った。 「あの会社か…?」 昔からの体制を変えたくないとか言って、危険区域に行ってでも撮影するJ社は、今までも散々セカンドに襲われてそのたびに救助されている。 死傷者も何人出たか知れないが、撮影隊は志願制らしいのでこちら側からはいくら迷惑でもJ社を解体することはできないのだ。 「J社の上の人たちの気がしれないよ。人の命を何だと思っているんだろう」 リクの言葉を聞いて、なぜか前髪で隠した右目が疼いた。 痛みに思わず顔をしかめたが、リクはそれが痛みが原因とは気付いていないようだ。 内心ホッとしてバイクの速度を上げた。 痛みはほんの一瞬だけだったが、目には違和感が残ったままだった。
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