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「ヒトのセカンドなんて、なんか不思議な感じ。セカンドなんだけど、人間なんだよなぁ。結局何なんだろ?」
救護室の清潔なベットの上で、リクはそう言いながら自分の肩を触っている。
そこには咬まれた傷を中心に赤黒く蜘蛛の巣のような形の凹凸が現れていた。
「じゃあ俺はどう説明するんだ?」
腹部にあたった攻撃によって粉々になった肋骨は一週間で元に戻った。
これは俺にだって理解不可能だがあえてリクにふった。
あの馬鹿っぽい困り顔が見たいがために。
「うーん…」
自分の肩から手を離すとリクは俺の顔に手を伸ばしてきた。
長かった前髪は散髪して短くなり、両目がしっかり見えるようにした。
隠されていた右目は、白目の部分までリクの肩のように蜘蛛の巣状に鮮やかな血の色に染まっている。
リクはそれを見ても一度も驚いたり怖いと言ったことがない、ということを思い出した。
そういうところがあるからこいつを認めていて、隣に居ることを許している理由なのかもしれない。
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