0人が本棚に入れています
本棚に追加
帰国した翌日、彼女の実家を訪れ、仏壇の中で微笑む彼女を前に、ただただ、涙を流す事しか…
メールの送り主はまさに、他でもない…亡き彼女だった
帰国して三週間後の雨の夜
今、隣で寝息をたてている彼女とバーで出逢い、彼氏に浮気され、別れたばかりの彼女と意気投合して、酒の勢いに流され、この部屋でお互い慰め合ってしまった
今夜は、あの夜と同じく、雨が凄まじい
雨に釣られて、窓に目をやる
ベランダに死んだはずの彼女が、びしょびしょになっていて蒼白い顔をしながら微笑んでいる
ひどく怯えながらベッドを降り、どういう訳か、びしょ濡れの彼女を部屋に入れた
彼女は笑顔のまま、後退りする俺に迫って来る!…
「貴男が殺したんですか!?」
声をかけられて、ようやく現実に引き戻された時…
雨上がりの朝の眩しい陽光が鋭く射し込む部屋の中で、警察官達が忙しなく動き回り、俺の手首には手錠が…、ベッドの上で胸が包丁に貫かれ、目を大きく見開き、大量出血して死んでいる新しい彼女のあまりにも凄惨な姿…が、目に飛び込んだ
しばらく事態を呑み込めなかったが、どうやら俺が無意識な中で、新しい彼女を殺し、110番をし、自ら警察官達を招き入れたよう
ようやく全てを理解し…
「刑事さん…実は、3日前に他殺体で発見された元ヤマダ通運のドライバーも…俺が!…」
〈了〉
最初のコメントを投稿しよう!