第1章

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あたしは無事に次の日学校へ登校出来たのだが。 正直、生きた心地がしない。か細く聞こえる悪魔の囁きが教室を満たし、集団であたしを見やる猛虎は、こちらを見て獲物が来たと、ほくそ笑んでいる。 『不愉快極まりない』 そんな毎日だった、はずなんだ。 「今日は、欠席が多いな……。いつも元気な奴らが見当たらんようだが」 先生の言葉で、意識がはっきりとする。 (いない?!あたしをくくりつける奴らが、いない、のか?) そもそも学校を休んだことがない奴ら。 突飛しているかもしれないが、飛躍したい気持ちが身体全身に駆け巡り、何処か興奮まで覚えた。自由に学校で過ごせる日が来たんだ、と。 内心スキップしたい衝動に駆られたが、なんとか抑えこんだあたしは、朝に昼休み更には放課後まで、何も危惧することが無かった。 ありえない! その一心だった。 だけど、あたしの奥底に芽生えた物は言う。 『二度とここに来るな』 異常かもしれないけど、本当に思ってしまっていた。無意識のうちに。同じクラスメイトなのに、そう感じていたのだ。 (本当にそうならないかな――) 自分でも想像できるような、卑しい笑みをあたしは浮かべていた。そんな時に、あの声が耳に届く。 【メールが1件届いているよ♪】 「このタイミングで?誰だろ、全く」 手際よく受信ボックスから届いたメールを見る。内容を眺めると、文面が昨日の変な奴とあたしの記憶が合致するものだった。 『悪い芽が 芽生えた あなた。 私は あなたを 苦しみから 救う』 「なんのこと……?悪い芽?あたしが?何か悪いことでも考えてたっけ――」 考えても思い当たる節が見当たらない、むしろ被害者なのに。多少なりともワガママなどで困らせたりしたことはあるけれども。 思考を凝らしていると、すぐに聞こえる。あの声が。 【メールが1件届いているよ♪】 半ば、焦燥感と勢いでメールの中身を確認したあたし。 中は――簡単なものだった。 『あなたの 源 預かります』 (源?それって、まさか――) 最悪な場面が、頭の中でシュミレーションされる。今自分が考えているものでなければいいのだが、と切に願う。今いる場所は校庭の真ん中辺り。どうも不安感で、どうにかなりそうなあたしは急いで家に帰宅することにした。
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