第1章

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可笑しい、可笑しい。 この家に誰も居ない。 ぎゃあぎゃあとうるさい母親も、他人のことを考えない父親も、あたしを見下した弟までもが、この家に誰ひとり居ない。 異常な現象が起きている、と頭でわかっていながらも理解したくない為に、変な方向に思考が持って行かれてしまう。 「みんなー……?もう朝だよ?どうして、誰もリビングにいないのよ」 寝る間際に聞いたあの声を思い出した。 やっぱり、夢では無かったのか。 恐る恐る携帯の画面を、進めていく。 残念なことに1件着信が入っている。 息をのんであたしは、それを見るためだが気がつかないうちに、力強くボタンを押した。 目に飛び込んだのはこの文字列たち。 『悪い芽は 摘み終わった。次は あなたの 源 預かります』 読み終わると同時に、インターホンが鳴る。 そのあとのことは――言うまでもないだろう。
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