危険な罠

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吸い寄せられるように 僕はあなたのそばまで来て あなたを抱き締めた 悲しげに澄んだその瞳 なぜ泣いているの? あなたの悲しみはどこからきているの? 僕ではその悲しみを取り払うことは出来ないの? 濡れたまつげの下からこぼれた涙の雫をそっと拭う ああ 僕はあなたが好きなんだ もうずっと前から ひと目見たときから 胸の奥を締め付けるような 熱い何かを感じていた ****** あなたが私を抱き締める 優しく愛おしむように あなたの体温を感じる あなたの指先が私の涙をすくう 間近で見るあなたの瞳 綺麗で 優しくて どこまでも広がる青空のように澄んだ瞳 どうしてここに来たの? だから駄目だって言ったじゃない 朝露が濡れてきらきらと宝石をちりばめたように 四方八方に張り巡らしたこの罠の糸 哀れにもがくあなた 私は女郎蜘蛛 好いた獲物はこの罠で捕まえて その体をズタズタに切り裂いて食べる あなただけは あなただけはそうしたくなかった
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