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「美紅がマリッジブルー?」
仕事帰りのサラリーマンで賑わう金曜日の居酒屋で、
私はビールジョッキを持ち上げたまま、
対面の柴崎康史に目を向けた。
瞬いたまつ毛の向こうで、
いつもは爽やかイケメンの柴崎が珍しく渋面を晒して、
傾けたジョッキをテーブルに戻すより早く、
薄い唇から重いため息を漏らす。
「身に覚えのない浮気まで疑われてさー。ほんと参ったよ」
私はお通しの枝豆を口に放り込んで、
愚痴をこぼす柴崎の声に耳を傾けた。
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