覚えてる。

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「いい加減にこれ、外してくれないか。頼む。」 「人にお願いをするときは、そういう風に言わない方がいいんじゃないんですかね。」 「……」 「ほら。何か言いたいことがあるのではないですか?」 「これを外して下さい。お願いします。」 「聞こえないですね。」 「う…これを、外して下さい。お願いします。」 「聞こえないですね。もう一度。」 「これを外して下さい。お願いします。」 「もういち…」 「お願いします!これを!外して下さい!お願いします…どうか…頼む…」 「頼む?」 「どうか、頼みます…」 「いいですよ。外しましょう。ただし、その手のやつ、だけです。」 「お前まじでふざ…」 「口の利き方には気をつけた方がいい。あなたは余計な事を言いすぎる。独り言も多い。寝言もね。」 「何言って…」 「世の中には様々な便利な高機能な物がそれはもう数多くありますからね。」 「お前、まさか…」 「何言ってるんです?私がされたことがあるんですよ。大変なんですよ、売れっ子小説家というのはね。」 「さっきとキャラ違うく…う!」 「キャラではないです、個性と言いなさい。全くこれだから語彙力の乏しい人は困るんだ。」 「外せよ。何でもするから。まじで頼むよ。」 そんな事が、そんな台詞が聞きたいんじゃなかった。 こんな状況に追い込む気など、きっとなかったはずなんだ。なのに何でいつも私はこんな…
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