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「君、綺麗だね。」
突然の一言に私は目を見開き、その声の主をすぐさま見つめる。
私の前に立つ容姿端麗で絵で描いたような男性が突然私に声を掛けた。
「え?私……ですか?」
「ああ、君以外…誰がいるんだい?」
「あ、あの……すみません!私急いでるので!!」
私はその男性の横を逃げるように通り過ぎようとしたが、不意に肩を強く掴まれる。
「僕のところで働く気はないかい?僕のところで働けば、君…いや君の家族も、もっと幸せな人生を送れることを保証する!」
男性の突然の誘いに私は何故か涙が目から溢れ出した。
ーー幸せな人生。それは私が今最も望んでいるものだった。
毎日夜遅くまで汗水流して働いている両親。仕事では決して弱音を吐かないが、夜中家では悔し涙を流していることを私は知っている。
その両親のためなら私の選択はもう決まってるーーー
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