宝物

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1年後ーー 「今日も相変わらず綺麗だね。」 「ちょっ!美晴さん、朝から照れます!」 私を預かってくれた美晴さん。この人のおかげで私達家族の借金は全部返済された。 そして今、私は美晴さんの家での召使いとして、両親の代わりに汗水垂らして働いているのだ。 「そろそろ君に綺麗な靴を買ってあげなきゃね。」 美晴さんが私に優しく提案するが、私は即座に「新しい靴はいりません!」と断った。 「え…何でだい?」 「私…両親が少ないお金で誕生日にプレゼントしてくれたこの靴がとっても大事な宝物なんです!だから……その、すみません!」 私が深々と頭を下げて謝ると美晴さんは私の頭を優しく撫でて、「大丈夫だよ。頭を上げて。」と微笑んだ。 確かに今の綺麗な服には似つかわしくないかもしれない。だけど、これは私の大事な人達がくれた宝物。 ボロボロなスリッパだけど、私はこれからも二人から貰った宝物を大事にしていきたい。 「幸、今日も綺麗だよ。」 私の名前は幸。両親がくれたこの名前のように幸せな日々をスリッパと送っていますーー
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